不動産投資の減価償却シミュレーション|取得日・構造・月割りの確認

個人の賃貸不動産の減価償却を試算するには、土地と建物、取得日、構造、償却方法、業務使用月数を分けて確認します。新築RC住宅の仮定例で計算を示し、中古・自宅転用の違い、償却費と税額・手元資金の関係を整理します。
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不動産の減価償却は、物件価格だけでは試算できません
ここで扱うのは、個人が賃貸業務に使う住宅の建物を試算する場合です。物件全体の価格から一律に償却額を計算したり、節税したい額に合わせて償却方法を選んだりすることはできません。
減価償却は、業務に使う資産の取得費を一定の方法で各年へ配分する仕組みです。土地は減価償却資産ではありません。まず取得価額のうち土地・建物・建物附属設備等を整理します。出典:国税庁No.2100「減価償却のあらまし」。

| 入力項目 | 確認する資料・条件 |
|---|---|
| 建物の取得価額 | 売買契約等の土地・建物の区分。総額をそのまま使わない |
| 資産区分 | 建物と附属設備等を整理。二重計上しない |
| 取得日 | 償却方法を決める取得年月日 |
| 構造・用途 | 木造、RC等と、住宅用等の区分 |
| 新築・中古・転用 | 耐用年数と、非業務用期間の有無 |
| 使用開始と月数 | 業務の用に供した時期、その年の使用期間 |
償却方法は、資産の種類と取得日によって決まる
国税庁の説明では、1998年4月1日以後に取得した建物は旧定額法または定額法に限定され、2016年4月1日以後に取得した建物附属設備・構築物は定額法です。建物を定率法に変えれば初年度の経費を増やせる、という説明を現行の取得にそのまま使わないでください。
2007年4月1日以後に取得した建物の定額法では、取得価額に該当する償却率を掛けることが基本です。旧定額法とは計算条件が異なります。生産高比例法を住宅の建物の節税方法として並べることも適切ではありません。出典:国税庁No.2106「定額法と定率法による減価償却」。
新築RC住宅の仮定例で、年間額と初年度の額を計算する
以下は計算手順を示す仮定です。実際の物件価格、売買内訳、投資利回りを表したものではありません。土地・附属設備・取得時の各費用を別に整理したうえで、建物の取得価額だけを1,000万円と仮定します。
| 仮定する項目 | 入力値 |
|---|---|
| 建物 | 2026年取得の新築RC造・住宅用、全て賃貸業務に使用 |
| 建物の取得価額 | 10,000,000円(土地・附属設備等は除く) |
| 法定耐用年数 | 47年 |
| 定額法の償却率 | 0.022 |
| 初年度の業務使用 | 7月1日〜12月31日の6か月 |
RC造の住宅用建物の47年は、国税庁の主な減価償却資産の耐用年数表で確認できます。店舗・事務所等の用途や、別の構造へこの年数を流用しないでください。
耐用年数47年の定額法の償却率0.022は、国税庁の減価償却資産の償却率等表に基づきます。単純に「1÷47」で置き換えず、該当する取得時期・方法の欄を確認します。
1年間使用した場合の額:10,000,000円×0.022=220,000円
上の仮定での初年度:220,000円×6÷12=110,000円
例は6か月をちょうど使う条件なので、月途中の開始や端数処理まで示した申告用計算ではありません。実際の使用期間、取得価額の算入範囲、業務使用割合、過年度の償却、未償却残高等を確認します。償却できる限度があるため、この年間額を最後まで無条件に掛け続けることもできません。
中古住宅や自宅からの転用は、同じ入力だけでは計算できない

中古資産では、取得後の使用可能期間の見積もりや、一定の条件下で使う簡便法を確認します。取得後の工事が資本的支出に当たるかなどで判断が変わるため、「築年数を引けばよい」とだけ説明することはできません。
また、自宅として使っていた建物を賃貸へ転用する場合は、非業務用期間の減価の額と、転用時の未償却残高を確認する必要があります。中古資産の見積耐用年数を使う場合にも、適用条件があります。出典:国税庁No.2108「中古資産を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却」。
新築取得の例、中古購入、自宅からの転用を一つの試算に混ぜないことが大切です。中古購入の具体的な耐用年数や、工事費の区分が分からない場合は、契約書と工事内容を揃えて税理士等へ確認してください。
減価償却費、税額、手元資金は分けて判断する
例の初年度110,000円は、仮定に基づく減価償却費です。110,000円の税金が戻るという意味ではありません。所得税の負担への影響は、所得・他の必要経費・適用条件等によって異なります。損益通算も、この例の償却額だけで適用を判断できません。
減価償却費は、計上した年に同額の現金を支払う費用でもありません。一方で、購入代金・返済・管理費・修繕等の支出は資金計画に影響します。税務上の費用と実際の収支を別の表で確認し、減価償却が大きいだけで投資が有利とは評価しないでください。
試算を申告へ使う前に確認すること
- 個人・法人のどちらの計算か、住宅の用途と業務使用の条件を確認する。
- 土地・建物・附属設備等の取得価額を資料から整理する。
- 取得日、構造、耐用年数、償却方法・償却率を照合する。
- 使用開始時期、中古・転用・工事の有無、既に償却した額を確認する。
- 税額・手元資金への影響は別に計算し、申告内容は税理士または税務署へ確認する。
本記事の例は一般的な計算手順の説明です。個別の申告を確定するものではありません。条件の違う物件に結果だけを当てはめず、公式資料と専門家への確認を組み合わせてください。
公式情報確認日:2026年10月10日。仕様・販売条件・受付内容は変更される場合があるため、利用時にも公式案内をご確認ください。